「はっ?」
テツヤの不機嫌な声が大きく響いた

目の前のスーツから匂う香りは独特のタバコと甘い香水の香りがして胸がキュンとした

『蓮…』
鼻声で囁くように呼ぶと私を抱きしめている腕にギュッと力が入った

「こら、泣かないの」
顔を上げると綺麗に持ち上がった唇にドキドキと心臓が早くなる


「お前…神崎か」
蓮の向こう側で驚いたようなテツヤの声がして泣いてしまった原因を思い出した