「君が34になったころ、堀と久山は定年していったね。君は定年祝いとやらをしたかい?普通は、人間界ではやるものだろう?なぜしなかった?」

荏原は黙っていた。

「君は、照れ屋なんだよな。どうでもいい人には何でも言える。でも、堀や久山のように好きな上司にはお礼を言えない。君は冷たい人間だと思われているだろうよ」

荏原は言った。

「だから?」