サークルの看板娘である高坂未来に、デートの申し込みをうけて数日経った。


まだ夢のような気がしてしかたない。
あの美少女から誘いがあるなんて・・・


今まで生きてきた中で一回も経験したことが無いのだから、例えようが無いが、まるで、雲の中を歩いているような・・・ふわふわした感覚だった。   


デートは今週の土曜日の午後二時に校門前待ち合わせにしたのだが・・・


今頃、普通の男子ならデートコースなんかを下見したりするのだろうが・・・
コースは彼女の希望から、全て彼女が決めるとの事だった・・・


何となく、そんな事もあり現実味が無いのだ。


校内にどっきりを行う秘密結社があり、自分を陥れようとしているのでは無いかとも考える・・


どちらかと言うとネガティブハートの持ち主なので、ラッキーが続くといつもそんな不安を考えるのだ。


いわゆる小心者を絵に書いた様な存在である自分が時折嫌になる。


同じ時田ゼミのメンバーで異性を感じない貴重な存在で入学以来、妙に馬が合う、北沢雪菜(きたざわゆきな)と校内のカフェテラスで待ち合わせをしていた。


デートという経験は無く、一番相談しやすかったのが北沢雪菜だったからだ。


待ち合わせ時間を30分程過ぎて、頼んだホットコーヒーが冷め切った頃合いに

『よ――っ!青年、相変わらず陰気臭い顔をしとるね・・あはは』


豪快に笑う、ショートヘアの綺麗な顔立ちの長身スレンダーな女性が待ち合わせの相手の雪菜だった。


北沢雪奈といると異性というよりは友達という印象の方が強い。
性格が竹を割った様なはっきりしたタイプで、喧嘩もするが、いつの間にか仲直りをしてる・・・
頼れる、友達であり、姉貴でもあるのだ。


『悩める青年の相談に乗ってやるのだから・・相談料を先に貰おう・・あまーいカフェオレを貰おうかな?』


互いに相談がある時は、相談者が奢るのが暗黙の了解となっていた。


あまーいカフェオレと二杯目のホットコーヒーをトレイに載せて持ってくると、窓際の席に着いた。


『で・・何事?青年』 


何か聞けるかと思い少しニヤニヤした雪奈が聞いてくる。