しばらくその場で立ち尽くした後、ワゴン車に戻ってホテルのシェフ特製のお弁当をみんなでついばむ。


おいしい、おいしいって夢中で頬張る由依はなんだかリスみたい。


うわ~、遥は寝てる清龍の口に無理やりデザート押し込んでる。

自分が甘いもの嫌いだから?

それともさっきキュンちゃん探し手伝わなかったことへの報復?

何にしても清龍、すごく迷惑そうに顔をしかめてるよ……。


紫水は自分だけ少し離れたところに座って、グラスを片手に遥と清龍のバカ騒ぎを見てる。

大人の雰囲気ってやつ?

でも紫水って時々、何考えてるのか分かんない……。


「ヒカちゃん、これ食べる?

すっごくおいしいよ?☆」


『うん』


今の由依の様子に変わったところはない。

良かった~。


存在を主張し始めたある感情。

それが何なのか分からなくて困惑しつつも、こんな毎日がずっと続けばいいと思っていた。