「もう、セイくんったら寝過ぎっ!!

ねっ、ヒカちゃん?☆」


『えっ、あ、うん。

そうだね』


思わぬタイミングで話を振られ、上手く答えられない。

由依が次に振り向いたときにはいつもの晴れやかな笑顔に戻っていた。


今のは見間違い?


「“そうだね……”っても~っ!!

ヒカちゃんまたうわの空なんだから~!!☆」


由依は茶化すように言うと、キャハハッとまたお腹を抱えて笑い出した。


『ごめん……』


いつも通り?

ううん、違う……。

なんだか明るすぎる気がする。

ひょっとして無理、してる?


そんなことを考えているうちに撮影は終わってしまった。


『由……』


再び問いかけようとした私。

ところがまたしても割り込んだ声に邪魔されてしまう。


「由依、お待ちかねの食事が用意できたって」


「わ~い、しーちゃんありがとう☆」


スキップしながら移動用のワゴン車に由依は駆け寄っていく。

そんな由依の背中をただ見つめることしかできなかった。