カツ、カツ、カツ、カツ……。 「おい、いい加減テーブル叩くその手を止めろ」 『ごめんっ』 遥に注意され、手を止めるとすくっと立ち上がった。 今度はなんだかじっとしていられなくて、部屋の中をうろうろと行ったり来たりする。 「おい、うろちょろすんな。 目障りだ」 『だって……』 「まるで妻の初産を待つ夫のようだな」 『なっ……』 私と遥のやりとりに口を挟み、私をからかう紫水。 “落ち着きがない” 彼はそう言いたいらしい。 そういう紫水は至って涼しげな顔で椅子に腰掛けている。