「あっ、ちょっと兄さんっ!!」


隙を見て社長は逃亡。


「うるさ……」


端の方で清龍が何やら文句を言っているが、今の私の耳には聞こえない。


「だからそんなに騒ぐなって。

俺が食事くらいなんとかしてやるから」


紫水の言葉にバタつかせていた手足をピタリと止める。


『はへっ?

ほんと?』


「ああ。

由依、ここのシェフに弁当を作らせて後で持って来させる。

それでいいか?」


「デザートもある?☆」


濡れた目で紫水を見上げる由依。