タバコの火を押し消して、村山はその場を後にした。
駅に向かっている途中、携帯が鳴った、画面には橋本ゆかりと表示されていた。
「もしもし、どうしたの?……うん、大丈夫だよ。今日はちゃんと仕事探したし、まだ貯金も残ってるから。それより、ゆかちゃんは就活どうなの?……おれ大学行ってないからよく分かんないけど。忙しいんでしょ?……まぁ近々会おうよ。」
彼女とは村山が自衛隊にいた時から付き合っていた、今年で大学三年生なので今の時期は就職活動で毎日が忙しそうだった。百年に一度の不況とニュースでよく耳にしていたが、その煽りをもろに受けていようで、無職で毎日フラフラしている村山との関係も冷めつつあった。
(イヤーなんかダリーなぁ、誰かと飲み行こうかなー。藤沢はどうせ暇人だから誘ってみるか。)
「もしーおれー、とりあえず飲みいかね?……」
軽く話しをした後、駅前の居酒屋で落ち合う約束をした。
「お疲れー、藤沢今日どうだった?」
先に着いていた藤沢は生ビールを飲んでいた。
「朝一から並んで五万勝ち!村山も来れば良かったじゃん!」
「もう金ねぇよ!……あっ生一つで!」
「だから貸すから行こうよー!」