「…おやすみなさい…」

「おやすみ…」



あの時、木下さんは私とのキスを後悔してるように見えた。

私の方を一切見ずに正面を向いたまま。


そんな木下さんの態度に胸が痛くなるばかりだった。

部屋に入ると涙が後から後から零れてくる。


どうして私はこんなに泣いてるの?
どうして私は木下さんの態度にこんなに傷ついてるの?


理由は薄々わかってる。

だけど、私は遠藤さんと別れたばかり。
しかもそれは木下さんの助けを借りて。

そんな私がどの口で言えるんだろう?

木下さんが好きだなんて…。


あのキス。
お互いの想いが通ったんじゃないかって一瞬思った。

もしかしたら木下さんも私を想ってくれてるんじゃないかって。

でもそんなのは私の幻想。

だからこんなに悲しいんだ…。