ふと会話が途切れて、高野を見ると…寝てる…。

昨日、あんまり寝てないからなぁ。

バイトもサボる事なくちゃんと来て、手抜きせずに働いてりゃガス欠にもなるか。

高野の寝顔に今朝の事を思い出す。

こいつってホント無防備な顔見せるよな。

妙な気持ちになるのを抑えつつハンドルを握る。





「高野、着いたぞ」

軽く肩を揺さ振っても高野は起きるどころか、反対に俺の方にもたれてきた。

少し……少しだけ顔を寄せれば、その唇に届く。

あと数mmというところで、ふと思った。

自分の知らないところで好きでもない男にキスされたなんてのを後で知ったら…?


少なくともカレシの事で不安になってる高野に追い打ちをかけるような事をしようなんてサイテーだ。



未練を断ち切るように高野をやや乱暴に助手席へと押しやった。