「木下さんも…私のせいで寝不足で…すいません…」

「だから謝るなって」

どうして私ってすぐに謝っちゃうんだろ。


「…一緒に帰るか?」

木下さんの顔をマジマジと見る私に、付け足すように小さく呟く。

「昨日の今日だから…心配なだけだ」

「甘えても…いいですか?」

確かに不安ではあるけれど、木下さんが心配してくれるほど私は遠藤さんの事を気にしていない。

ただ木下さんといたい…。

それだけを思ってしまった。

そんな私を知らない木下さんは優しく微笑んで頷いてくれた。






車の中で、木下さんは他愛ない話をポツポツとしてくれる。

優しく見える店長が本当は鬼瓦みたいに怖いとか、入社したばかりの時の失敗談とか。

私からすれば木下さんの失敗なんて有り得ないとつい笑ってしまう。

そんな会話を交わしてるうちに、暖かい車内と心地よい揺れ、寝不足もあって私は吸い込まれるように眠りに落ちてしまった……。