鍵の交換が終わるのを待って木下さんは帰った。

寝不足の木下さんがちゃんと運転出来るのかなって心配だけど…。

私も遅刻ではあるけど大学に行く準備をして家を出た。

ただ不安なのは…遠藤さん…。


昨日、私が家を飛び出した後、部屋を荒らしたのは遠藤さんだろう。

きっと怒ってるに違いない。
そんな遠藤さんと顔を合わせるのは気が進まないな…。






「珍し―。真面目な真由子が遅刻なんて」

同じゼミの友人、倫が笑う。

「すぐ人の事、真面目って…倫だって十分真面目でしょ」

バッグを机に置いて隣に座る。

「真由子に言われたくないなぁ」

不満げに口を尖らせる倫。

そんな倫は最近カレシが出来たらしい。

私は疑問に思ってる事を訊ねてみた。

「倫。どんな風にカレシが好き?」

私の質問に目を丸くしてマジマジと見つめる。

「どんなとこ、じゃなくてどんな風に?」

頷く私に「うーん」と唸ると倫らしい真面目さで答えてくれた。