『貴方へ.』

あの頃のあたしは
愛されることも
愛することも
解らなかった

だけどずっと願ってた

その気まぐれな唇や
あの優しすぎる声が
あたしだけのものに
なれば良いのに

その力強い腕や
あの可愛すぎる横顔が
あたしのためだけに
在れば良いのに

哀しいあたしの
小さな願いは
この広い空に消えた

それでも海はウタってた

あたしを孤独にさせないように

あたしの世界を壊さぬように

だけど今
あたし幸せ

貴方ではない大切な人に抱かれて
貴方が居ない大切な景色に溶けて
笑ってる

だから貴方も
笑ってて

そしていつか再会したら
最高の笑顔で言うよ

「あたしもう、寂しくないよ」