あの日をさかいに、
中野くん…駿とはよく話すようになった。
「最近、中野と仲いいよね。何かあった?」
そう言ってニヤニヤしながら聞いてくるエミちゃん。
「駿とはなんもないよ!」
「もう名前でよんでるんだー」
「だから違っ…!」
「この頃、葉月が楽しそうであたし嬉しいよ」
エミちゃんは優しく笑う。
――ありがとう、エミちゃん。
いつも見守ってくれてて、本当に感謝しても足りないくらいだよ。
「葉月ー!」
教室の隅に居る集団の1人が私をよんだ。
「ちょっと行ってくるね」
エミちゃんにそう言うと、私はその人のところに駆け寄った。
「大きな声でよばないでよ、恥ずかしいじゃん…!駿のバカ!」
「俺がこっちこい、っていう視線何回も送ってんのに来ねぇからだろ?」
「分かるわけないじゃん!」
「…ん。葉月にやる」
突然言われて、駿の手元を見てみる。
「……………牛乳?」
「おう。コレ飲んで、身長も乳もでかくしろよ」
「……ッ!よっ…余計なお世話ですっ!」
全く…!なんてこと言うの!
駿のバカ!ドスケベ!本当最低!
とりあえず、爆笑する駿から牛乳を貰って席に戻ろうとする。
――…目が合ってしまった。
その瞬間、私の背中が凍りつく。
だって、…ものすごく怖く冷たく、私を睨んでいる悠がいたから。
.

