「知らね」
そう言って悠は、私を強く抱きしめた。
「なぁ…、俺達付き合ってねぇの?」
初めて聞いた弱々しい悠の声に、私は目を見開いた。
「…お前は俺のこと好きなんじゃねぇのかよ?」
…………………好きだよ。
どうしようもないくらい大好きなの。
でも、悠は違うんでしょ?
私のことなんか……、
「…俺、葉月のこと……駿にも誰にも渡したくねぇよ…」
………何で…、
………何でそんなこと言うの?
「悠…、私…バカだから勘違いしちゃうよ?」
そう言うと、悠が更に強く抱きしめる。
「…本当にバカかよ。…勘違いしてもいいっつーの」
悠の一言に我慢していた涙が、一気に溢れ出した。
「…ヒック…悠が女の子と遊んでるのが嫌だった…」
「…………うん」
「…………悠に他にも彼女とか居るんだと思った…」
「…………うん」
「…………約束まで破られて、私…嫌われたのかと思った…」
「…………ゴメン」
「…悠のアホ!女っタラシ!ヤリチン!」
「おい!最後、悪口じゃねーか!てかヤリチンなんて言葉、どこで覚えたんだよ…」
「悠のジジクソババアー!」
「……………お前なぁ…」
悠は私の肩に手を置いて距離を離した。
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