「剣、私見ちゃったの」

「何を?」

「朝比奈さんが」

「え?」

「剣にチョコ?渡すとこ」

「あっでも貰ってないよ」

「うそ。朝比奈さんが受け取ってくれたって」

剣はバツが悪そうな顔した。
お願い。受け取ってないって言って。
私これから不安で倒れちゃうよ。
剣はいつも私が1番だよって言ってくれる。でも、でも不安なの。剣が…私の前から消えちゃうんじゃないかって。

「受け取ったよ。でも、俺と朝比奈は幼馴染なんだよ。だから…んー義理チョコってか友チョコ的な感じなんだよ」

「でも、朝比奈さんはそう思ってないかもよ?」

「いや、俺らの中で恋愛感情って…気持ち悪いよ」

「本当に?剣のは朝比奈さんに対してそういう感情はないの?」

「絶対ない」

「よかった。安心した。部活前にごめんね。頑張って」

「おう。これありがとな」

安心…した。でも、なんだろう。この心に引っ掛かる感じは。
剣のことを疑ってるわけじゃない。けど不安で不安で。
いつからだろう。自分がこんなに弱い人間になったのは…。