「まったく……
お前なんかとつるむから
俺までこうなるんだよなー!」
「悪かったな!
だったら尻尾巻いて
戻ればいいだろ!?」
「今さらそんな事
すると思うか?
心配すんなよ。
ちゃんとお前についてくから」
「………どっちなんだよ」
「けどさぁ、
これでよかったのか?」
「何がだよ?」
「ヴァリーフォージに
追われる身になって」
「別に後悔も何もねぇよ。
あんなとここっちから
おさらばして正解だぜ!」
「そうか。
一族の復讐よりも
結局は女を取ったか」
「………………ッッ!?
アレクト……お前……」
「東雲神楽。
間違いないな?」
「知ってやがったのか?」
「最初は思わなかったけどね。
お前と長年一緒にいて
確信したね」


ヴァリーフォージから追放され、
逃亡中アレクトの放った言葉は
俺が恐れていた言葉だった。


「いつから気付いてた?」
「いつからだろ?
でも結構前からだよ?
何?
俺を殺すのか?」


無意識に銃口を
アレクトに向けていた。


「今のお前に
俺を殺す意味あんのか?
忘れるなよ?
こっちだってもう
ヴァリーフォージとは関係ない。
ただの一般人だ」
「………それもそうだな。
でもそんな前から気付いてて
何故殺さなかった?」
「何度も殺っちまおうかと
思ったよ?
けどさ、
それ以上にお前の生き様に
惚れ込んでたって事よ!
ホント殺すにはもったいねぇって
思っちゃったからな!」
「気持ち悪いなお前」
「気持ち悪くて結構!
けどさぁ、
なんで東雲一族が抹消されたか
わかったのか?」
「わかんねぇよ!
実行犯が
ボスじゃないかってくらいしか」
「ふーん………。
なんかさ、
東雲劒煌が異端者の抹消の廃止を
考案したらしいぞ?
それで、
今まで抹消の対象だった異端者を
更正施設に
収容しようって言ったら
恨み買って焼き討ち
食らったらしい。
東雲一族はほとんとが
上層部に所属してたからな。
それでいっぺんに
殺られたんだろ」
「アレクト………テメェ
いつから知ってた?」
「え?
それは最初から」
「やっぱ殺していいか?」
「それはいやん」