ACcess -焔-

君を考えようとする。

僅かな輪郭が浮かび上がる。

笑った顔。

照れている顔。

たくさんの人に囲まれる遠い存在。

そうだ、君はアイドルとも呼ばれていたな。
詩人ではない。アレは歌姫か。


溜め息を吐いた。
ふと顔を上げると、君は目を輝かせていた。
「なぁなぁ!
 どうしてそんな職業知ってんだ?
 まさか…知り合いにカラオケ同好会が居るとか?」

ドンクレの知り合いってミステリアスだから凄く気になる!と呟き、興味津々な眼差しが痛い。

「…居るよ、一人。
 知り合いがね。」


君を…いや、全てを見ないように遠くを見た。

しかし目の前にあるのはPCのディスプレイ。
違うんだ…。そんなんじゃない。
酒場の窓の外、ドラゴン広場、チュート村…。

そんなもの通り越して遠く、遠く…。
リアルもネットも通り越し、自分は過去を見ていた。

それは楽しくて遠い、昔の出来事。
そして辛くて近い、思い出だ。


君が名前を呼ぶ声で自分の居場所に戻る。
「…あぁ。
 そうだ、知り合いだ…。
 その人が、自分をこの世界に引き入れたから。」

君の大きな瞳は更に大きくなり、輝いた。
「誰?オレ、会いたいッス!」
嬉しそうに笑い、ズボンの裾を引っ張った。
「なぁーあ!気になーる!」

そんな君を見て自分は悲しく笑うしか出来なかった。

ただ虚しく、笑うしかなかった。