タタタタ―

自分の足音と戦闘用のBGM、少し前に出会ってしまったレッドドラゴンの鳴き声で耳の中は壊れそうだった。
「なんでこんな時に限ってっ…!」

走りながら最後の起爆札を投げる。
HPを示すゲージはびくともしない。


狭い通路まで誘い込む。

レッドドラゴンは足元の攻撃に弱く、四肢の間に滑り込めるようになっていた。
そこに飛び込むように走る。


しかし、一瞬遅くドラゴンの尻尾で弾かれる。

すごい勢いで飛ばされ、壁に打ち付けられた。
画面がえらくブレ、かなりのダメージを受けた音がする。
「やばいな…。」

そんな事されないように狭い所へ入ったつもりだったのに…。

回復アイテムは使い果たし、もうダメだと思ったその時。
「こんな所に標的見付けた。」

そう言って視界が眩しい光りで包まれる。

閃光魔法か何かだな…そう頭が理解するのに少し時間がかかった。
「グズグズしてないでこっちに走れ!」
喝を入れられ、反射的に声のする方へ急ぐ。


ドラゴンの足元をくぐり抜け、必死に走る。

ドサッ―

そしていきなり強く肩を掴まれ、床に叩き付けられた。
「フフッ。捕まえた。」

目の前には見覚えのある顔。
「…乱暴ッスね。ありがとう。」
そう言うと微笑んで起こしてくれた。