「楓くん。私は、楓くんのことが好きでした」

「僕も、好きだった、よ」

僕らはお互い額を合わせて笑った。

「こんなになって始めて気づくなんて、馬鹿だね、私達」

「ああ、そうだな」

「遊びにいってもいい?」

「いつでも、いいよ」

「私が力使えるようになったら教えるね」

「見せてくれよ」

「うん、いいよ。特別だからね」

幻歌の姿はすうっと闇に溶けていった。

「光華さん」

「何ですか?」

「僕らを、帰してください」

「うん、いいよ。ここに置き去りにできないですしね」

「なんで、幻歌は消えてしまったんですか?」

「消えてませんよ。詠使いとしての力を限界まで使って、あっちに戻されちゃっただけ」

「また、会えますか?」

「星降る夜は、詠い人が人の願いを叶えるために降りてくる……」

「ありがとう、光華さん」