「カンタンテ?」
詠い人だけでもいっぱいいっぱいなのに新しい詠い人や聞きなれない単語がほいほい出てくるのは困る。
僕の頭に優しくない。
「はい。詠使いと書いてカンタンテと読みます」
光華はルビをふれないのは面倒だとかなんとか呟いている。
なんのことだかさっぱりわからないが、詠い人なんて大抵そんなもんなのかもしれない。
現に幻歌もよくわからないことを口走ってたし。
「って、幻歌!幻歌だよ!幻歌の具合が悪いんだ。下ろしてくれ!」
「それは無理な相談です」
「なんで!」
「ほら」
光華は下に指を下ろす。
「すっごく、元気そうですよ」
「え?」
光華の指先をたどると、そこには幻歌が僕たちを見上げていた。
そして――。
「え?」