異変に気づいたのはすぐだった。
「様子がおかしい。まさか、ウタちゃん……羽化が始まった!?」
「こーかちゃん?」
私のあせりを敏感に感じ取ったのか、心配そうに声をかけてきた。
あなどれない子だ。
「まずいですよ、咲良ちゃん」
「どうしたの、なにがあったの?」
「貴女のお兄さんが危険です」
咲良は身を硬くした。
「お兄ちゃんが危険ってどういうこと?お兄ちゃん、どうなっちゃうの!?」
そこで、光華が言いづらそうに顔を背けた。心なしか、顔も赤くなっているように見える。
「危険といっても、主に……お兄さんの貞操の危機です」
「は?」
咲良は目を丸くしてぽかん、と呆けた。