「幻歌!?」
いきなり前のめりに倒れてきた幻歌をギリギリで支えたとき、楓はぎょっとした。
軽すぎる。
人として軽いという訳ではなく、体重がない。
それこそ、幻歌の羽織る外套の重さ程度にしか。
実際、それは外套の重さなのかもしれなかった。
もともと幻みたいに存在の希薄な少女だったが、今は本当に消えそうな、そんな感じがした。
「どうしろってんだよ……幻歌」
とにかく、寝かせられる所を探そう。楓はそう思って幻歌を抱き上げた。
羽のように、抱えた感触がしなかった。