幻歌は重い体を楓に悟られないように引きずって歩いていた。
詠い人の存在は流れ星によって確立される。
今日は流星群なだけあって普段よりも相当力が満ちていていたのだが、今は自分の存在を維持するだけでいっぱいいっぱいだった。
それも当然だ。
楓の足の骨折を直し(実は楓は相当満身創痍だったのだ)、楓の夢を詠み、空を飛んだ(跳んだ?)。
それだけ力を使ったのだ。ついイライラして、楓に辛く当たってしまう。
もっとも、力に振り回されない(どころか逆に力を上手く利用いている)詠い人もいるのだが、それは例外の中の例外だ。
例外なら、幻歌も負けていないが……。
とにかく、幻歌も限界だった。

不味いですね……。倒れそうです。



楓、くん……。