「……じゃ、そういうことで。
なんか用事ある?」
「……な、ない…けど…」
ちゃんと用事あるか
聞いてくれるんだ。
頭イイ人は違うな…
気が利く。
「じゃ、いいよね。
そうだ。アドレス教えて?」
朱里らしい黒い携帯を
受け取ろうとすると
逆に携帯を奪われた。
「なんか、李呼らしい携帯だな」
「朱里だって。
黒い携帯、似合うね」
「だろ〜?」
カチカチとあたしの携帯をいじりながら
笑って言う朱里。
「言っとくけど、何も面白いものは入ってないからね?」
「アハハ、なんだソレ。
はい、終わった」
携帯を返され
電話帳を確認してみる。
そこには
“水橋 朱里”の文字。
「朱里、誕生日8月なんだ」
「そ。夏休みだから、みんなに祝ってもらえないんだ」
そっか。
なんか可哀想。
それから、他愛ない話を
たくさんして
家に帰った。
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