「あなた、名前は?」


「…石塚 杏奈です」



あんなちゃん、か。


可愛い顔だな……




「杏奈ちゃん、あたしは水橋とは何もないから安心してね?

今日、二人はデート?」



「はい、でも
学級委員だから出来ないって…」



杏奈ちゃんは、悲しそうに
俯いてしまった。


……可愛いな



仕草も

声も


喋り方も



すべてが“女の子”って感じ。





「……じゃ、デートしてきなよ。もう終わったからさ」



「え、でも……」


「いいから!!
あたしは彼女でも、何でもないから」




ズキッ


自分で言った言葉が

自分の心に刺さってる。




……痛い…





「はいっ……

ありがとうございます!!!」





杏奈ちゃんは、とても嬉しそうな顔をして


走っていってしまった。





「………はぁ、帰ろう」



あたしは、一人で

家を目指して歩き始めた。



……お腹空いた…



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