すると、すぐに戻ってきた。




「……李呼…」


「……」


「………李呼…」



ダメ


今、顔上げられない。




「……李呼…」




フワリと、何かに

包まれた。



温かくて


大きな………




朱里の腕に……





「…ごめん、李呼」


「……う、ん」




朱里の声から

きっと優しい顔をしてるんだろうって感じる。




「……別に…泣かせたかったワケじゃない。
ホントにごめん……」


「……うん」


「許してくれる?」



可愛く

ねだるような声…


やっぱり、今朝と正反対。





「…うん。謝ってくれたし…許してあげる」



ニコッ



顔を上げて、笑ってみた。



朱里は、目にたまった涙を

長い指で拭いてくれた。




ドキン…ドキン…



高鳴っていた心臓には


まだ気付かないあたし。




「…泣かせたおわびに
なんかおごるよ」


「え?」



冊子作りがすべて終わり

2時近くなった時


朱里が言った。


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