「あなたが私を抱いてくれたら、龍太郎さんの愛人を続けます。
一度きりで、いいんです。」

「…脅しですか。」

彼は長いため息の後、そう呟いた。

どう思われようと構わなかった。

死んでもこの想いを遂げようと、決めたのだから。

「僕は社長の第一秘書ですよ。」

「知ってますよ、そんなこと。」

言いながら、ブラウスのボタンを外していく。

彼はいよいよぎょっとした様子だった。

「僕はあなたを愛していません」

「それも知ってます」

素っ気なくそう答えながらも、情けないことに手が震えてしまう。

「莉子さん」

子供を宥めるような声に、思わず涙が込み上げる。