冷たいプリンセス☆



え………?


"いいにおい"………?



「付き合ってた頃から、変わってないな。首筋に香水つけるクセ。」


「あ………」


そう言えばそうだ……


無意識に毎日首筋に香水つけてた。


「しかも、クロエの。俺大好きなの、昔から。」



音弥………

やめて………もう思い出したくないの


あんな苦くてイヤな思い出………

どうして、思い出させるの………?




私は音弥の大きな胸を押した。


「菜月?」


「やめて、名前で呼ばないで。」


私は立ち上がり、乱れたシャツをただした。


「菜月……」


「キャッ…」


腕を引き寄せられ、すっぽりと音弥の胸の中に抱きしめられた。


「嫌よっ………離してっ………っ」


「何で?」


「"何で?"当たり前でしょっ!思い出したくないのっ………あんなイヤな思い出………せっかく忘れてたのに………どうして思い出させるの………」



私は泣きながら、ぐったりした体を音弥に預けた。