先生が黙って差し出された花束を受け取ると、一番問題を起こしていた男子生徒が、いきなり席を立ち、先生にこう言った。



「…俺っ、ずっと問題ばっかり起こしてて、めんどくさい生徒だったかもしれないけど、先生のこと…ずっと尊敬してた。

先生だけは、こんな俺を最後まで見守っていてくれた、世話をしてくれた。

そんな先生が、俺は好きだった。
ホントに先生が担任でよかったぜ。ありがとな…」


最後の言葉は、聞き取りにくいほど涙声だった。



先生はびっくりした様子でその男子生徒を凝視した。



そして、先生の目から零れ落ちた…一筋の涙が頬を伝って床へポタリと流れ落ちた。



今までけして生徒の前では涙を見せなかった先生が…今、泣いたんだ。



たった…たったそれだけのことなのに。