「べ、別に何にもないって…」

「んーでも…」


あたしは多岐君の手首をつかんだ。

そしてゆっくり頬から遠ざける。


「ごめん…あたし、今日塾なんだ。だから先行くね…」

「え、ちょっと未来!」


あたしは走り出した。

まだ塾に行くのは早い時間だって分かってた…

でも走りたかった。

その場所から逃げ出したかった…