こぼれ落ちた涙を拭いて、体を起こしてベッドの近くに置いていた携帯を手に取った。


ズズッと鼻水を啜りながらボタンを押してかけた人は



『もしもし。智樺?』


「うん。ゆうだい…グス…」

涙が…止まらないよ…。

『どうした?泣いているのか?』



「…うん。ゆうだいが…なかせた…」

『俺が…?』


「うん…ゆうだいの曲…よすぎだよ…」


『そっかぁ…』


「うん…よすぎで…涙とまんないよ…」


雄大は、あたしが泣き止むまで『あんま泣きすぎると、目腫れちまうぞ』なんて冗談っぽく言いながら、ずっと付き合ってくれた。


数分後、ようやく泣き止んでティッシュで涙と鼻水を拭いた。


「ありがとうね、素敵な曲を…ありがとう」


『いいって。気に入ってくれて俺も嬉しいよ』


「うん…」


『智樺…』


「なに?」



『これからも、一緒に曲作っていこうな』


「…うん…。」


『智樺…』


「うん…?」



『好きだよ…』



トクン…。“好きだよ”その一言が、こんなに嬉しいなんて…。



「あたしも…大好き…」


雄大を好きになって、本当によかった。

あたしを好きになってくれて、ありがとう。