俯いていた、あたしの手を雄大が握った。


えっ?と思っていたら「これ、曲できたから後で聴いて」と一枚のCDを手渡された。


「えっ!?もうできたの!?」

1日しか経ってないのに…。


「まだ未完成だし、ドラムじゃなくてギターで弾いたから変かもしれないけど…」

「ギター?雄大、ギター弾けたの?」

「あ、ちょっとだけな。気に入ってくれたらいいけど…」

「気に入るよ!気に入るに決まってる!」

そっかぁと照れくさそうに笑う雄大と視線が重なった。

ジィーと見つめ合うあたし達。

トクン…トクン…と鼓動が煩い。

“キスされる…”

そう思った…。けど…

「じゃあ、またな」とニカッと笑って帰っていく雄大。

「あっ、うん。またね」

なんだか、物足りなさを感じてしまった心。


あたし、やっぱりいつの間にか欲張りになってたのかな…。

ちょっとだけ寂しさを感じながらバイバイと時々、振り返って手を振る雄大の後ろ姿を小さくなって消えてなくなるまで見つめていた。



ふと見上げた空は、濃いオレンジ色に染まっていた。