「智樺…」


「なに?」


俯いていた顔を上げると、ツンとおでこを軽くデコピンされた。


「イタイッ」って顔をしかめると


「あんま可愛い顔してると、帰れなくなるじゃん」


と言って、あたしをギュッと抱きしめた。



「智樺ぁ…」



「なに?」




「スゲェ好き。大好き」




「うん」





「ずっとこのままでいたい」



「うん…」




「けど、帰らなくちゃいけないよな…」




「うん…」




「やっと…抱きしめられたのに、帰らなくちゃいけないのってなんか辛いな…」


「そうだね…」




このまま、時間が止まればいいのに。

心の底からそう願った…。