「初めは、いいよって断ったんだけどね。雄大、自分に任せておけって言ってさ」
それに、雄大ならもしかしたらスンナリ自分の事を諦めてくれるかもしれないと思ったと話す恭子さんは
「雄大、背高いでしょう。それに喧嘩も強そうに見えるじゃない?」
確かに。雄大は、背も高いし鍛えられた体だから、あたしから見ても喧嘩が強そうに見える。
「あたしが付き合った彼ね、そんなに背が高くなかったのよ。
それに、男同士の喧嘩なんてとてもじゃないけど出来ないような人だったから
強そうな雄大が相手なら諦めてくれるかなって思ったの」
「それで、どうなったんですか?」
「うん、簡単に諦めてくれた」と嬉しそうに話してくれた恭子さんだったけど、その表情は少し複雑で
「結局…あたしってさ、アイツにとってそこまでの女でしかなかったんだよね」
色んな感情が恭子さんの中に溢れているようで、悲しげに笑った笑顔は、凄く切なく感じた。

