「それも誤解よ。雄大が、あたしの事を好きだなんて…そんなこと、それこそあり得ないから」


「えっ!?そうなんですか!?」


「そうよ」と笑いすぎて涙が出ている恭子さんは、ハンカチで涙を拭いながらもう一度ハッキリと


「絶対に、それはない」と言った。



「うそ…」


「うそじゃないわよ。雄大にとってあたしは、お節介な姉みたいな存在だから」


お節介な姉…そんな…雄大は絶対恭子さんのこと好きだって思ってたのに…。…


「だって、雄大いつも恭子さんのこと、切なそうな瞳で見てたし」


「あぁ、それは、あたしの事が心配で放っておけなかったんだと思うんだ」


「心配?」


「うん」



恭子さんは、ちょっとだけ、遠くを見るような瞳で海を眺めると


「あたしが付き合ってた人なんだけど、あたしの他にも、付き合ってた人がいたんだ」


悲し気な瞳でポツリと言った。