「んじゃあ、今度こそ帰るかぁ」と言った雄大に「ちょっと、待ってて」と告げて植松のところに向かった。
「なんだよ?」と睨んでくる植松。
瞬間…あの頃の傷が疼いたけど、あたしはキュッと唇噛み締めて
「あんたがやった事、ライブ滅茶苦茶にして凄くムカついた。あの時も、小3の時も…やり返せなかった事が凄く悔しかった…」
殴られた事がショックだったし傷ついた。
あたしの肩をポンと叩いて「智樺…」と心配そうな雄大の声が聞こえてきた。
「大丈夫だよ。雄大。大丈夫」
大丈夫だから…雄大がいてくれるから大丈夫。
「あんたのこと、大嫌い。だけど、あんたのことも許してあげる」
「お前…」
瞳を大きく見開いて、あたしを見てる植松の瞳を、逃げないで真っ直ぐ見つめた。
昔は、この瞳が怖かった。また何かされるかもとビクついてばかりいた。
だけど、もう…今は怖くない。怖くないから。
「だけど、今度何かしたら許さないから。
あたしの大切な人達、傷つけたら許さないから。
それだけは、覚えておいて」

