すれ違う人混みの中に、仲良く寄り添いながら1つのソフトクリームを食べ合う恋人達がいて
思わず立ち止まり、視線でその2人の姿を追った。
「どうした?」
少し前を歩いていた雄大が立ち止まり、あたしを見ていた。
「うぅん。なんでもない」と駆け寄ると「なんだ、智樺もソフトクリーム食べたいのか?」
食うか?と、近くのソフトクリーム屋さんで2個ソフトクリームを買う雄大。
その内の1つを「ほれ」とニカッと爽やかな笑顔で渡してくれた。
「あ、ありがとう」
そう言って受け取ると「おぉ」と満足そうに笑った。
ホントは、ソフトクリームが食べたいんじゃなくて、あんな風に仲良く歩いてる2人が羨ましかっただけだけど…。
あんな事があった後に、こんな事を思ってしまうなんて。
自分でも、どうにかしてるって思うけど。やっぱり、羨ましかった。
「美味いな」と、美味しそうにソフトクリームを食べる雄大。
あたしもパクリと頬張って「うん、美味しいね」と笑った。

