「それって、恋じゃないの?」
本格的に梅雨入りして湿った空気が漂う日々が続いたあと


久しぶりに晴れた空を、昼休みの北校舎の屋上で美紀と一緒にボケっと眺めながら、雄大先輩との事を話すあたしに言った言葉に


「へっ?恋?」


素っ頓狂な声で聞いた。


「そう。恋」


あたしと仲本さんは、この数日間でだいぶ仲良くなった。

携帯で電話したりメールしたりしてる間に

いつの間にか“美紀”“智樺”と、お互いを名前で呼び合うようになっていたあたし達。


昼休みは、こうして殆ど誰も来ない北校舎の屋上で一緒に過ごす事が最近の定番になっていた。


「いつかもっと2人で話したいね」と電話で話していたら美紀が、ここならオススメだよと教えてくれてから、ここは、あたし達だけの秘密の場所になったんだ。


こうして、気兼ねなく話せるようになったあたし達。

「智樺だって、本当は気づいてるはずだよ」


「なにを?」



「だから。雄大くんを好きだって事だよ」

「えっ!?」


あたしが、雄大先輩を…好き!?


「そんなはず!」


「ないわけがないでしょう?」


まるで、あたしの心を見透かすようにニコッと笑う美紀に

あたしは、思わず顔を両手で隠した。