「んじゃ、またな」

いつも家の前まで送ってくれる雄大先輩。


「本当にここまで送ってもらえなくてもいいですよ。1人でも平気だし」

「お前なぁ、一応女の子なんだから。こんな時間に1人じゃ危ないだろう?」

はぁ…“一応女の子”ね。その言葉になぜか軽くショックを受けながら


「じゃあ、またな」


今年遅めの梅雨入り間近な湿った空を背に


爽やかな笑顔を残して去っていく雄大先輩の後ろ姿を眺めながら



ドンドン募っていく意味不明な不思議な感情を無視できなくなっているあたしがいたんだ。