「けど…あたしの気持ちに気づいてくれても…」


「どんな気持ちなの?」


「へっ?」


「だから。智樺が俺に分かってほしいのは、どんな気持ちなんだ?」



そんな…急に言われても。困るよ。なんて言っていいのか…。言葉がうまく出てこない。



「なぁ、智樺。俺だって、お前が考えてる事知りたいよ。知って、分かり合いたいと思ってる」



先輩が、少しずつあたしに近づきながら言葉を続けた。



「だけどさ、智樺が俺に本当の気持ちを話してくれないと、俺、何も分かんないだよ」



あたしの真正面に立ち。あたしの瞳を真っ直ぐ見つめた。


「だからさ、もっとお前の気持ちを俺に話してくれよ。俺、馬鹿だけど、お前の気持ち。分かるように頑張るからさ」


先輩の言葉で…気がついたら、あたしの頬にあたたかい雫がこぼれ落ちた…。
あたしはただ、もしかしたら、あたしの閉じ込めていた心の声に誰かに気づいてもらいたかっただけかもしれない。


『助けほしい!!』って壊れそうになっていた、あたしの心の声に気づいて…手を差し伸べてもらいたかっただけなんだ…。


一人じゃ寂しいよって…誰かに包み込んでほしかっただけなんだ…。


やっと、出会えたのかな?

あたしが求めていた人に。


ニカッと笑う雄大先輩の顔を見てそう想ったんだ。