あと1球だ……。
あと1球投げて、アウトを取れば、俺達の勝利だ。
「湊人ー、あと1球だー」
「相原せんぱーいっっ」
ガンガンとメガホンを叩く音が聞こえる。
部員たちも“ラスト1球”と言うことで、より一層応援に熱がこもる。
勝ち負けがかかっている今…… 俺達野球部は誰もが緊張しているはずだ。
右手でボールを持ち、胸の前で構える。
たかがが中学生の練習試合かもしれない。
それでも俺には練習試合1つ1つが大切なんだ。
なんせ、俺の夢は―――。
構えたボールを投げた。
「――― ッッ」
甲子園で投げることなんだから……。



