”未完全”


 「ただいま、お母さん、お弁当美味しかったよ」

綾乃は、そう言いながら、ダイニングの方に、

走っていった。

 「あれっ?パパ?お母さんは?」

母親の姿が、見えない。

 「…綾乃、ごめんね…」

父親が、そう言う…。

 
 「お母さんは?」

もう一度聞く。

 
 「……。」

父親は、何も言わずに、綾乃を

抱きしめた。


 「…なんで…なんで、お母さんいないの!」

綾乃は、そう言いながら、泣き出した。

 

 綾乃は、訳が解らなかった。

…悲しかった……。