”未完全”

 
   [綾乃の心]

 

 <毎朝、笑顔で、「おはよう」

とりあえず、お喋り、話題なんて、なんだっていい。

昨日みたテレビの話しとか、何組の誰々が、

誰々と付き合ってるとか、遊びに行った話しとか、

どうでもいい事を、話したり、適当に返事したり、

そんなんで、一日は、始まっていく。

クラスの女の子は、ちょろいもので、少しおだてたりすれば、

簡単に向こうから、寄ってくる。

誰も、私が、心の中で、こんな風にみんなの事を

思ってるなんて、気付く気配は、全く無い。



ただ一人、有美香だけは、見透かしてた…。


有美香の鋭いとこ、本当は、怖かった。

誰にも、今まで、気付かれなかったのに…。



家に帰って、一人になると、

今まで、感じなかった不安が、顔をだすようになった。>