”未完全”

　綾乃は、もともとあまり友達とか、親友とか

そういったものに対する、憧れみたいなものは、

ないタイプだった。

子供の頃から、どこか冷めた物の見方をしてしまう。

ただ、自分の事を、惨めに思われるのは、絶対耐えられない。

人の目から映る自分は、幸せそうに見えないと我慢できない。

正確に言えば、友達が欲しいのではない、

友達がいなくて、惨めに見える自分が嫌なのだ。

そういった意味では、高校で友達ができたのは、

うまくいったという事になる。