先生はもう何も言わない。 見ると首筋にじっとりと汗をかいていた。 そのスピード、10秒弱。 なんでかな……。 あたしの上司達は あたしが憧れることをこんな簡単にやっちゃうの? 無茶を軽く可能にする能力を持つ葵さん。 人を魅了し、すべてを味方にする姫里。 じゃあ、あたしは? …………あたしには何が出来るの? 護衛なんて簡単だと思った。 でも…………。 「姫里」を護衛することは難しいことだってことに今頃気づいた。