「姫里は疲れない?
こういう風に社長をして、忙しいでしょ?」
あたしはこんなことを続けるのは大変だと思う。
仕事が少ないあたしでもそう思う。
「どうかな?
正直、自分の限界が見えなくてどこまでが大変なのか、疲れているのかもわからない。
ずっとそうやって生きてきたから」
『ずっとそうやって生きてきた』
やっぱりあたしとは違う感覚。
あたしは小さいころからこの感覚が欲しくてたまらなかった。
あたしには能力が無い。
幼いころ、姫里と真麻と銀音と遊んでいるとまだ遊びたいのに委員会の迎えが来た。
三人は能力が在るから委員会の人に連れて行かれた。
残るのはいつもあたしだけ。
独りぼっちにされた。
寂しくて、同時に自分を憎んだ。
どうしてあたしには能力が無いの?
どうしてみんなと一緒にいちゃいけないの?
ねえ、どうしてなの?
今でも思う。
何を手に入れても満たされない想いは渇きに変わってあたしの心をたびたび襲った。

