下へ下りる時、武士と擦れ違った。 僕の顔を見たまま動かない。 あっ。 しまった。 この姿の時の一人称は『僕』ではなかった。 「あたしに何か用でも?」 親切に聞いてやったのに答えを返して来ない。 少し、いや結構イライラとし始めた時奴はぽろりと言った。 「峰内 銀音? それとも別人?」 そう思うのも無理は無い。 なぜなら、今のあたしの格好は・・・。 黒髪のウイッグと、 ブラウンのカラコンを外した状態。 銀髪の髪と、 紅い瞳。 これがあたしの本当の姿だ。