人ごみにまぎれて来てるんじゃないかってほのかに期待して、し続けて。 それでも来なかった。 指定時刻4分前程度。 「……行くか」 小さく呟いて、座っていたソファから腰を上げた。 その瞬間だった。 微かに聞こえるアイツの声。 俺の好きな女の声。 振り返るのに、姿がない。