「さんざん泣かせて、さっきも優しくしてやれなかったくせに」
そう言われて初めて気付いた。俺はいつも綾乃をフォローしてやってない。
むしろ、いじってるから。
グサッと真実が胸に刺さる。大きな鎌を刺されたみたいだ。
もう、カッコイイgameの主人公じゃない。ボロボロでHPも残り少なくて次の戦いに残った体力はなくなってる。
それぐらいショウの言葉は重かった。
だって全部本当の事だから。
「ち、違うのっショウくん!それは私が勝手に…―――」
「ホントに?無理やり彼氏宣言されて?それからもっと酷いこと言われたんだろ?」
「っ…。で、でもっ」
二人の会話を聞いてると苛々する。何?いつからそんな仲良くなったわけ?
「…黙れよ」
ビクついた綾乃の肩にそっと手を置くショウの行動一つ一つが許せなくなっていた。
さっきまでの親友気取りはもう、止めだ。
「俺、姑息なの…知ってた?…大和」
「黙れ」
声も聞きたくない。誰の声も。
「さっきの張り紙事件も疑われたんだろ?」
「!」
嫌だ。
あぁ…マジで無理。

